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ファミリーコンステレーション

ファミリーコンステレーションとは?

ファミリーコンステレーションは、ドイツ人心理療法家バート・ヘリンガー氏が確立したグループセラピーの1つで、家族療法の一種(体系的家族療法・システミックセラピー)です。現在、北米・南米・アジア・中東など30カ国に及ぶ国に広がり、へリンガー氏の著書は30冊を越え、10カ国語以上に翻訳されています。

個人の問題を「家族システム」から見る

いま多くの人が鬱病や拒食症、引きこもりなどの問題で苦しんでいます。一般的には「症状を抱えた個人の問題」と捉えられがちですが、ファミリーコンステレーションでは、家族の中の誰かひとりが苦しんでいるとき、個人の問題をその個人の問題として捉えるのではなく、「家族」という1つのシステムに生じた症状と捉えていきます。問題や症状を抱えた個人を通して、その「家族というシステム」全体に働きかけていくのが、最大のポイントです。
個人の心理的な問題を「家族システム」から捉えることで、新しい見かたや気づきが提示され、多面的な解決と根本的な癒しが促される非常に特徴的なアプローチです。
『コンステレーション』とは「配置」あるいは「星座」などを意味する言葉です。家族を夜空に浮かぶ星座のように配置するところから、このワークはスタートします。

「隠された存在」に焦点を当てる

1つ例をご紹介しましょう。父のことが心配でいつも父から目が離せない娘(クライエント)が、なかなか結婚できないという悩みを抱えていました。個人セラピーでは、「供依存」がテーマとなったり、父親とのワークが中心となってくるでしょう。ファミリーコンステレーションでは本人個人のトラウマではなく、家系の中に起きた『トラウマとなる出来事』を探っていきます。
父親の家系を探って行くと、父には戦時中、結核に感染して幼い時に亡くなった姉が2人、兄が1人いました。次から次へと子どもが亡くなっていく現実…
父の両親の悲嘆は想像を絶するものがあります。そして父の母親もまた、看病疲れから脳溢血で末っ子である父を残して亡くなってしまいます。どんなにか、末っ子の父のことが心配であったことでしょう。ファミリーコンステレーションでは、クライエントが会ったこともない、父が幼い頃に亡くなった伯父や伯母、祖母に焦点が当てられていきます。コンステレーションを立ててみると、父親は家族の方ではなく、輪の外を向いて立っていました。ファシリテーターは、その輪の中に、父親が幼い時に亡くなった父の母(クライエントの祖母)を入れました。ワークの中で祖母と父の気持ちのやりとりが行われ、祖母の感情が解放されると、祖母と同一視していたクライエントの父に対する異常なまでの心配な気持ち(私がお婆ちゃんの代わりにお父さんを見ていてあげるから!)は、単に娘が父を気遣うものへと変容していきました。
祖母とクライエントとの会話も行われます。そこにはクライエントの、会ったこともない祖母への深い家族愛が垣間見れます。解き放たれた想いの後には、新たなパートナーと出合うスペースが広がります。
このように、ファミリーコンステレーションでは、個人に現れている症状や問題が表現している「隠された存在」に焦点を当てていきます。問題の背景に思いもよらなかったところに「愛に基づく目的」が隠れていることが発見されると、癒しと解決の可能性が大きく広がります。深い家族愛が感じられる瞬間です。
それは、原因の追及や分析ではなく、まるで「愛の宝探し」のようであり、その独特のアプローチは従来のカウンセリングやセラピーの方法とはまったく異なり、思いもよらなかった新たな視点を得ることになります。

「もつれ」を紐解く

個人が抱えている問題は、家系の中の深刻な出来事によって引き起こされている可能性があります。小さな子どもは、自分の家系(家族システム)のバランスが崩れていることを敏感に感じとります。そして、自分がそのバランスを埋めれば、家族システムにバランスが戻ると信じ、無意識にバランスが崩れている状況に直接関係している人と自分を自己同化して、家族システムのバランスを戻そうとします。このような状態をファミリーコンステレーションでは「Entanglement」、「魂のもつれ」とも呼んでいます。
家系における「もつれ」を探り、光をあてることで、自分が家族の誰に、あるいはどんな出来事に自己同化しているかが紐解かれていきます。「もつれ」が紐解かれていくと、両親から子供への愛の流れを再確認することが出来ます。このプロセスの体験が、自分と家族に於けるその立場の理解につながり、抱えていた問題を自然に手放せる方向へと導かれるのです。
働きかけを受けた本人の家族一人一人に対する見方が変容し、行動や在り方の変化に繋がり、そのことが、結果、家族にも望ましい影響を及ぼすことに繋がります。背後に隠れている愛と尊重が表に出てきても、あなたが背負う為に貢献している誰かは苦しむことはないのだ・・・ということが理解できるようになります。再発見された愛と和解と調和のエネルギーは、ゆっくりと現実の家族の中に溶け込んでいきます。

グループワークの進め方

家族全員が参加する必要はありません。問題を感じている方(クライアント)だけのご参加で結構です。事前に家系の中の出来事をお調べ頂いてからの参加となります。
グループワークの場合は、参加メンバーが「代理人」として家族の構成メンバーの代理をしてもらいます。
ワークは十数名の参加者で行われるのが一般的です。ファシリテーターがクライアントにインタビューしながら

必要な情報を収集します。それに基づいて、クライアントの家族システムをグループの輪の中に再現します。
「コンステレーション」とは、布置するとか、配置するという意味です。

家族を夜空に浮かぶ星座のように配置していきます。その際、クライアント自身に父親、母親、

本人自身、兄弟姉妹など家族の構成メンバー(代理人)を参加者から選んでもらいます。

クライエントが部屋の真ん中に家族を配置します。その際、分析的に考えて配置するのではなく、

直感的に「その場所」と感じることが大切です。
時には、亡くなったお爺ちゃんの戦友や、会ったことも無い幼少時に養子に出された伯父さんや、

幼い頃に亡くなった叔母さんも登場します。配置された代理人は、

あたかも自分がアンテナになったかのように、そのクライエントの家族の詳細は

知らないにもかかわらず、自分の感情や感覚ではないその代理する相手の感情や感覚を

感じるようになります。

この現象は「形態形成場理論」(下記参照)によって説明されています。
各代理人の向き、距離、動きや感覚などの反応をファシリテーターが読みとっていきます。

また時には代理人を移動させたり、他の家族の誰かを追加する働きかけの中で、その家族にある「もつれ」を探り出して、

これまでわからなかった潜在的問題を明るみに出します。明るみに出ることによって、システムはその「もつれ」を調整しようと、まるで生き物のように動き出します。ファシリテーターは、流れ出したエネルギーに添いながら、システムが調和するように働きかけることになります。時には解決に至らない場合があります。しかし、そのプロセスを踏むことで、次のステップが立ち現われてくることがあります。
また、時に場が動かない場合もあります。その場合ファシリテーターは家族の秘密を尊重し秘密のままそっと置くことにします。

個人セッションの進め方

個人セッションの場合は、人形を使って行います。基本的な流れはグループワークと一緒です。
人形の場合は、代理人の反応(姿勢、動きや感情)が取れないため、

より正確な家系の情報が必要になります。
情報から仮説を立て、家族システムの力動を紐解き、底に流れている家族愛を明るみに出し、

背後に隠れている愛と尊重が表に出てきても、あなたが背負う為に貢献している誰かは苦しむ

ことはないのだ・・・ということを人形を使いながら見ていきます。
家系の情報が不十分の場合はお引き受けできないこともあります。事前に家系の情報を

お送り頂き、お引き受けできるかを判断させて頂きます。お引き受けできるかを判断させて

頂く以前の料金は発生しません。

明るみにすることで根底からの癒しを促す

ファミリーコンステレーションのセッション/ワークショップでは、参加した個人を通じて、その個人が所属する家族システムの滞りやもつれを探し出し、表面化させます。問題が明るみになり、新しい見方や気づきができるようになると、人一人ひとりが持っている自己変容の力により根底からの癒しが促されます。
ワークショップに参加した方の多くは、それまで苦しみでしかなかった問題の背後に、愛や尊重、和解、調和を再発見し、問題から解放されていきます。生命エネルギーを取り戻し、生き生きしてくる方も多くいらっしゃいます。
解放されたエネルギーは、ワークショップに参加された個人を通して、少しずつ家族の中にとけ込んでいきます。結果として、家族全体がより良い方向に変わっていくというケースが数多く見られます。
ファミリーコンステレーションは家族だけでなく企業など組織体にも応用できる興味深い方法です。「ビジネスコンステレーション」という名称で徐々に使われ始めており、心理療法から発した企業経営/組織管理を変える新しいアプローチとして進化し続けています。

(文責:玉木素子)

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